河鍋暁斎展

先日、京都国立博物館で特別展「暁斎−近代へ架ける橋」を鑑賞。


京国の若冲、蕭白と続くシリーズの第3弾。前者がいける人はたぶん暁斎もいけるはず。蕭白のような孤高の鋭さはない。若冲にはない毒がある。洒落っ気も毒も北斎に近い気がする。幕末&明治版北斎みたいな。エログロは北斎よりもさらに壮絶な気がする。
デビュー当時の作品から晩年の作品まで網羅されていた。初期の作品は真面目でおとなしい。しかし猫をかぶっている気配がする。展示順に絵を見ていると、年を重ねるにつれどんどん崩れて過激になっていくのがわかる。どこで転んだのだろう。
泥酔状態で描かれたという絵が結構あった。酔拳。北斎、若冲、蕭白らはみな酔っ払って描いた傑作を残している。暁斎も例外ではない様子。一度古今東西の酩酊状態で描かれた絵を集めて展覧会をやってほしい。


下絵も見応えあり。描画ソフトのレイヤーみたいに背景の上に人物などを重ね貼りしている。色指定、胡粉の修正インクなど。

  • 31「鬼の碁打図」
  • 36「鷹に追われる風神」…情けない風神。岡野玲子の菅公とか連想してしまった。
  • 59「惺々狂斎画帖(三)」、(13)「化猫」…和製アリスのチェシャー猫。これのクリアファイルが売られているが、驚く人々が表に印刷されていて、化け猫は裏に印刷されている。表から見ると裏地の猫がぼんやり透けて見えるという具合。アリス(トトロも?)好きの人は買いな一品。
  • 69「白鷲と猿」…猿の怯えっぷりがハオ。
  • 100「大仏と助六」…最初何が描いてあるのかわからなかった。人参に見えたり。遠ざかってみてみてビックリ! やられた。お気に入り。
  • 121「地獄太夫と一休」…すごい威力。
  • 123「閻魔・脱衣婆図」…特に閻魔の方。恐ろしげなものが情けない姿をするのは萌える。


5月11日(日)までの開催。(絵を保護するためかな)冷房が効いているので、なにか羽織る物を持っていったらよかったと少し後悔。四条河原町から七条の京都国立博物館までは京阪電車があるが徒歩でも30分くらいの道のりなので、路地裏を歩いた。